亜鉛と生殖器〜「ミネラルの知られざる世界(16)」

米国で精子提供者を対象に行われている大規模な調査によると、過去20年間で米国人の精液中の精子の濃度は半滅しているということだ。この原因には諸説があるけれど、有力候補と目されているのが亜鉛の欠乏である。これは御婦人方には無関係であるが、不妊症に関係するので、男性(ご主人)には注意を促したい。


亜鉛は男性の生殖器官とかかわりが深い栄養素でもあり、精液中にはとくに高濃度の亜鉛がふくまれている(血液中の10〜35倍)。しかも、精液中の亜鉛濃度が低下すると、精子の数も減少し、亜鉛濃度が高まると精子も増えるという密接な関係にあるらしい。


そして、亜鉛は米国人に最も不足している栄養素の一つといわれていて、平均的な米国人はRDAの46%〜63%しか亜鉛をとれていないということだ。これでは精液中に亜鉛が十分供給されているとはとても考えられない。米国のミシガン退役軍人病院の研究によれば、ごくマイルドな亜鉛の欠乏でも精子の数を減らすことがあるという。


彼らの実験では亜鉛が不足気味の食事を数か月続けただけで、妊娠させるのが不可能なレベルまで精子数が落ちこむ男性もいたし、亜鉛のサプリメントを2、3か月とり続けると精子数が正常値にもどる人も多かった。亜鉛の摂取レベルは精子数にかなり敏感に反映されるらしい。


米国人の男性が心して亜鉛をとらなくてはいけない理由はまだある。米国人の前立腺障害の発生率は日本人の100倍もあるのだが、これにも亜鉛がかかわっている可能性が大きいのだ。前立腺は精子をつくる工場で、人間のからだの中で亜鉛を最も豊富にふくむ組織でもある。


シカゴの複数の病院で行われた調査からは、前立腺炎の患者の多くは前立腺内の亜鉛濃度が異常に低下していると報告されている。


200人の患者に、亜鉛を投与した結果、70%の患者に改善がみられたということだ。亜鉛は、細胞を分裂させたり、成長させたりという生命の基本的な部分で活躍しているミネラルだけに、それが不足したときには実に様々な影響が現れる。逆にいうと、土台のしっかりとした健康を手にいれるためには絶対に不足させてはいけない栄養素であろう。



★丸元淑生氏の著作選「ビタミン・バイブル」

ビタミン・バイブル完全版 ( 著者: アール・ミンデル / 丸元淑生 | 出版社: 小学館 )

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この本にはビタミンやその他栄養素について知りたいことが、ほとんど1冊に網羅されている。それと、病気の症状に応じたビタミンの効能・選び方、どの食品に多く含まれるか、さらにタンパク質(アミノ酸)、脂肪、ミネラルの効能・摂り方までおよそ病気の予防と体調不良時の対処法の案内役として、また健康維持のための指南書として是非お奨めしたい。

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